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多くの人が、「もっと自分を愛したい」「自尊心を高めたい」と思いながら、なぜ、それが簡単に叶わないのでしょうか?

現代では、多くの日本人が自分を愛せない、自尊心が低いことに悩んでいると言われています。



その理由の1つとして、「人と比べられる」ことが挙げられるのではないでしょうか。



私たちは、生まれてから育ってくる過程で、常に周りと比べられ、評価をされています。

家庭の中では、兄弟姉妹と比較されるような思いを味わうことはよくあるでしょう。

また、同じ年頃の子どもや、近所の友だち、保育園や幼稚園の仲間などと比べられるような気持ちになることもあるでしょう。

そして、小学校、中学校と集団生活をするにつれ、目に見える成績やランクで評価されることが当然のようになってきます。



そこには、子どもながらに「人との競争」と呼べるものが存在します。

そして、現代の競争とは、端的にいえば「相手に勝つ」ことが目的になっていることが多いといえます。


相手に勝たなければいけない、自分が目に見える評価を受けて優位に立たなければ、自分には価値がない・・・。

親の言動や態度を通し、また教師の教えを通して、さらには、自分の意識を通しても、そのように駆り立てられることが多いのではないでしょうか。

このように無意識に思いこんでしまう社会のシステムがあることは、否めないのです。



スポーツ競技や遊びのゲームのように、競い合うことで切磋琢磨し、自分の力や個性のありかを知り、お互いを高め合うという目的なら、競争には高い価値があるといえるでしょう。

しかし、現代社会の競争システムの中で、より高い点数を稼ぐことによって勝つという経験は、その人独自の個性を抑え、知らず知らずのうちに集団の価値観へと迎合していくことを要求されます。


そして、このような価値観からは、本当の意味で自分を愛すること、自尊心を高めることにはつながらないものです。

かえって、自信を失うことにもなりやすいでしょう。



人は、ありのままの姿をまるごと受け入れられ、認められ、愛されることによって、真の自尊心を培うことができるようになっています。


「もっと良い成績を取ったら・・・」
「あの試験に合格したら・・・」
「あの資格を手に入れたら・・・」


そうした条件の下に手に入る自信とは、一過性の幻想にすぎないといってもよいでしょう。



もし、自分は自尊心が低いと思っているなら、自分の自信が、目に見える成果や物質の側に偏っていないかを確認してみる必要があるでしょう。

また、自分の地位や肩書、所有している財産などに過剰なほど執着をしている人は、外部の目に見えるものばかりに自分の心を預け、本来の自分自身に、実はどこか不安を抱いていることも多いものなのです。



真に自分を愛し、高い自尊心を持っている人は、何事にも行き過ぎた執着をせず、安定した心を持っているものです。

そのような人は、周りの人にも期待や要求をすることがなく、寛大な心で、安心感を与えることができるでしょう。



とはいえ、人間社会には競争はつきものですし、知らず知らずに自分もその中にいることが多いものです。

競争の目的を、「勝ち」から「価値」へと高められるように、私たち一人一人が意識できるようになりたいものですね。


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